こんにちは、ヤチヤチルです。
今回はブリ猫。さんの闘病マンガ『うつを甘くみてました』の感想になります。
Twitterやpixivで発信して、書籍化になったマンガです。
私と同様に、ブリ猫。さんもⅡ型の双極性障害の当事者です。
そして同じく、私も昔はうつを甘くみてました。
目次
『うつを甘くみてました』は背面にあるように「イチ事例書」のマンガ
ブリ猫。さんの『うつを甘くみてました』の背面にこのように記載されています。
この本は病気克服の成功体験本ではありません。
あくまでの、あくまでもイチ事例書として
読んでみてください。
(註:太字装飾は引用者)
このように、あくまで「イチ事例書」となっています。
イチ事例書だから良い
私は「イチ事例書」だからこそ良いのだと考えています。
病気の症状というものは多様です。
患者の数だけあると言っても過言ではないでしょう。
同時に、精神疾患の当事者の数だけ、病気との生き方があります。
はっきり言えば、『うつを甘くみてました』から得た知識をそのまま活用できるのは、社会保障・福祉の部分くらいでしょう。
しかし、それ以上に「イチ事例書」だからこそ、ブリ猫。さんの病気のつらさや生活の困難さが赤裸々に伝わり、当事者や当事者家族などの読者に力を与えます。
ブリ猫。さんの描く可愛い猫と生々しい闘病記
ブリ猫。さんの『うつを甘くみてました』の大きな特徴として、登場人物が猫である点が挙げられます。
非常に可愛らしいです。
一方で、描かれている内容は生々しく、人間模様がグロテスクでもあります。
絵は猫で可愛いのに、内容は生々しい。このギャップがマンガの面白さを際立たせています。
闘病マンガとしては、新しいスタイルなのではないかと思います。
ただ、可愛らしい絵でマイルドになっているとはいえ、内容は生々しいです。
マンガだから読みやすいとはいえ、調子が悪いときに読むには厳しいかもしれません。
充実している社会保障・福祉の話
『うつを甘くみていました』の別の特徴として、社会保障・福祉の話が充実している点があります。
ヘルプマーク、障害年金、自立支援医療制度、障害者手帳など、さまざまな制度について触れています。
全てが詳しく書かれているわけではないですが、知っていると知っていないとでは大違いであるため、かなり重要なことです。
とくに金銭面での制度について言及している印象が強く、読んでいて勉強になります。
何をするにもお金は必要なので、ありがたい話です。
闘病マンガというより壮絶な半生をつづったマンガという印象
もちろん、うつを始めとした、様々な病気の症状についても描かれているのですが、『うつを甘くみていました』はブリ猫さんの壮絶な半生を赤裸々につづったマンガである、という印象を強く受けました。
このように書くと、期待はずれだったのかと思われますが、そうではありません。
精神疾患は社会や生活と密着した病です。ブリ猫。さんも描いていますが、共に人生を歩んでいく病です。
ブリ猫。さんの半生を見るというのは、精神疾患だけでなく、それを取り巻くつらさや困難、障害を含んだ精神疾患の全体像を見るというものになります。
そのようなマンガはあまりないでしょう。
闘病記としてだけでなく、半生談という視点で読んでも面白いかと思います。
双極性障害のうつ病相がメイン?
『うつを甘くみてました』でも解説されていますが、Ⅱ型の双極性障害はうつが強いです。
そのため、どうしてもうつの話が多くなるのは分かりますが、あまり軽躁の話が出てこないな、という印象を受けました。
これは私の妻も同じ意見でした。
ただ、軽躁の話が出てこないからと言ってマンガの価値が減少するわけではありません。
つらさや困難、障害は十分伝わってきますし、そもそも症状は人それぞれです。
当事者やつらい境遇にある人は是非ご一読を
双極性障害のマンガなので、当事者や当事者の関係者にオススメなのはもちろんのこと、前述したようにブリ猫。さんの壮絶な半生が赤裸々に書かれているので、今つらい境遇にある人にもオススメします。
マンガなので読みやすいですし、かなり読みごたえもあります。
是非、ご一読を。
以上、ヤチヤチルでした。
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