【書評】錦山まる『マンガでわかるうつ病のリアル』(KADOKAWA)

2021年10月19日


こんにちは、ヤチヤチルです。

今回は錦山まる著『マンガでわかるうつ病のリアル』についての書評です。

これまであまり見なかったタッチの精神疾患のマンガ

私が観測できる範囲ですが、闘病マンガや体験談のマンガというとほんわかした絵が多いように感じます。例えば、細川貂々著『ツレがうつになりまして。』(幻冬舎)が良い例でしょう。
対して『マンガでわかるうつ病のリアル』は若年層をターゲットとしたマンガの絵、誤解を恐れずに言えば萌え絵に近いです。

どちらが良いとか悪いとか、一概には言えませんが、これまでにない層にもうつ病とはどういうものか知ってもらうことができるのではないでしょうか
意外と身近なうつ病ですが、新しい層を取り込むことでうつ病の知識の普及につながることが期待されます。

マンガで要点、文章で詳細な説明なので読み方が選べる

『マンガでわかるうつ病のリアル』はマンガと文章で構成されており、マンガで要点を押さえた後、文章でより深く解説していく、という特徴があります。
要点がわかるというのは大きなメリットで、マンガにせよ文章にせよ中心となる主張を探すのは一苦労。うつ病ともなれば困難を極めます。
しかも、要点が4コママンガなのでさらっと読むことができます。

文章部分ではしっかりと症状や困りごとが書かれており、よりボリュームを求める人にとってうれしい限り。
わかりやすさと情報の多さの両方を兼ね備えた良著だと感じます。

これは私の一個人の意見ですが、うつ病当事者はまずはマンガだけでも読んで、理解が欲しい周囲の人には文章部分も読んでもらう、という使い方をすると効果的ではないでしょうか。

例え話や具体例、実体験が豊富な文章

私が一番印象に残ったことです。

何か解説されたり、説明を受けるときに、「例えば~」、と事例があると理解が深まりますよね。
『マンガでわかるうつ病のリアル』では著者が例え話や具体例、実体験を持ち出して解説や説明をするので、読みやすい文章となっています。
さらに、それらはわかりやすく、上手い書き方だな、と勉強になりました。

病気の本は伝わりやすさがひとつのポイントとなるので、とても良い本ではないでしょうか。

おさるさんの「まる」の口調が怖いのは私だけ?

これは私だけかもしれませんが……。

登場人物(?)の一人である、おさるさんの「まる」さん、口調がきつく感じたんですよね。
うつ病について知識や理解を深めてもらおう!という熱血漢なのはわかりますが、ちょっと圧倒されます。
好みは分かれるでしょうが、調子が悪いときには読むのがつらかったり、当事者の周囲の人からは「どの目線?」と感じるんじゃないかな……とちょっと不安を覚えました。

うつ病になったら読んでおきたい/周囲に読んでもらいたい一冊

マンガ部分を読んで共感したり、文章部分を読んで理解を深めたりするのに役立つ一冊です。
また、うつ病だけでなく、双極性障害のうつ病相の理解にも役立つと感じました。

「こんな症状私だけ?」「うつ病の家族の行動が理解できない」といった需要に応えてくれるでしょう。
マンガで”わかる”、というだけあって共感より理解を助けてくれます。

専門家が書いた解説書と合わせて読むとより効果が出るかと思います。

とても勉強になるので、うつ病の人も、その家族や友人もぜひご一読を。

以上、ヤチヤチルでした。

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